熱中症について学ぼう:暑熱順化
暑熱順化
暑さに慣れていないと熱中症になる危険性が高まります。体が暑さに慣れること(暑熱順化)について知り、暑くなる前から熱中症の対策を行いましょう。
暑熱順化とは
暑熱順化とは、体が暑さに慣れることです。暑い日が続くと、体は次第に暑さに慣れて(暑熱順化)、暑さに強くなります。
暑熱順化による変化
人は運動や仕事などで体を動かすと、体内で熱が作られて体温が上昇します。体温が上がった時は、汗をかくこと(発汗)による気化熱や、心拍数の上昇や皮膚血管拡張によって体の表面から空気中に熱を逃がす熱放散で、体温を調節しています。この体温の調節がうまくできなくなると、体の中に熱がたまって体温が上昇し、熱中症が引き起こされます。
暑熱順化がすすむと、発汗量や皮膚血流量が増加し、発汗による気化熱や体の表面から熱を逃がす熱放散がしやすくなります。
暑熱順化に有効な対策とは
体を暑さに慣れさせることが重要なため、実際に気温が上がり、熱中症の危険が高まる前に、無理のない範囲で汗をかくことが大切です。
日常生活の中で、運動や入浴をすることで、汗をかき、体を暑さに慣れさせましょう。
暑熱順化には個人差もありますが、数日から2週間程度かかります。暑くなる前から余裕をもって暑熱順化のための動きや活動を始め、暑さに備えましょう。
屋外
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ウォーキング・ジョギング
帰宅時にひと駅分歩く、外出時にできるだけ階段を使用するなど、意識して少し汗をかくような動きをしましょう。
目安として、ウォーキングの場合の時間は1回30分、ジョギングの場合の時間は1回15分、頻度は週5日程度です。 -
サイクリング
通勤や買い物など、日常の中で取り入れやすいのがサイクリングです。
目安として、時間は1回30分、頻度は週3回程度です。
室内
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筋トレ・ストレッチ
室内では筋トレやストレッチで軽く汗をかくことができます。運動時の室内の温度には注意し、暑くなりすぎたり水分や塩分が不足したりしないようにしましょう。
目安として、時間は1回30分、頻度は週5回~毎日程度です。 -
入浴
シャワーのみで済ませず、湯船にお湯をはって入浴しましょう。入浴の前後に十分な水分と適度な塩分を補給し、入浴して適度に汗をかくと良いでしょう。湯の温度が高めの場合には時間は短め、湯の温度が低めの場合には少し長めの入浴することがおすすめです。
目安として入浴の頻度は2日に1回程度です。
せっかく一度暑熱順化ができても、数日暑さから遠ざかると暑熱順化の効果はなくなってしまいます。自分が暑熱順化できているかをいつも意識し、まだ暑熱順化できていない時には、特に熱中症に注意するようにしましょう。
特に暑熱順化ができていない可能性が高いタイミング
暑熱順化ができていない可能性が高いタイミングは、特に熱中症に注意が必要です。
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5月の暑い日
5月でも最高気温が25℃以上の夏日や、30℃以上の真夏日となることもあります。体がまだ暑さに慣れていないため、気温が高くなる日に活動をする際には、屋外でも室内でも自分の体調に注意し、水分補給と適度な休憩をするようにしましょう。
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梅雨の晴れ間
梅雨で雨が降り、気温が下がると、それまでに暑熱順化した体も、元に戻ってしまいます。梅雨の晴れ間で気温が上がる日は、温度も湿度も上がる可能性がありますので、熱中症には特に注意しましょう。
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梅雨明け
梅雨明け後は、晴れて気温が高くなる日が続くことが多くあり、梅雨の間に暑熱順化できていないことで、熱中症による救急搬送者数が急増します。梅雨明け前から体を暑さに慣らしておきましょう。
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お盆明け
休みの間に暑熱順化が戻ってしまう場合があります。また、帰省や移動などで疲れている場合にも、熱中症には注意が必要です。
このように暑熱順化ができていない可能性の高いタイミングの2週間前を目安に、暑熱順化するために運動や入浴を行うようにしましょう。
暑熱順化チェック
直近2週間について伺います。①~③について当てはまるものを1つ選択してください。
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①入浴(シャワーだけでなく、湯船に入るもの)
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②運動(汗をかく程度のもの)
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③その他の汗をかく行動(運動・入浴以外の外出など)
なお、入浴、運動、その他の3つのうち1つだけ満点を取るより、バランス良く高得点となる方が効果は高まります。意識して暑熱順化を進めていきましょう。
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熱中症について学ぼう
【監修】
帝京大学医学部教授
帝京大学医学部付属病院高度救命救急センター長
日本救急医学会評議員・専門医・指導医
熱中症に関する委員会委員 三宅康史 先生