熱中症、こんな人は特に注意!熱中症、こんな人は特に注意!

子ども

予防・対策

子どもは汗をかく能力が未発達のため、皮膚の血流量を増加させ、体の表面から周囲に熱を逃がすことで体温を調節しています。子どもは、大人よりも体重に対して体表面積が大きいため、周囲の環境の影響を受けやすく、熱しやすく冷めやすいという体格上の特徴があります。
気温が皮膚温よりも低い場合には、体表面積の大きさを活かし、体の表面から熱を逃がすこと(熱放散)で大人と同じように深部体温を調整することができます。しかし、気温が皮膚温よりも高い場合や、地面からの照り返しなどの輻射熱が大きな場所(夏季の炎天下)では、周囲の環境の影響を受けて、熱しやすい子どもの深部体温は大人よりも大きく上昇し、熱中症のリスクが高くなります。
子どもの熱中症は周囲の人が、顔色や汗のかき方を注意してみることで防ぐことができます。暑い環境で長い時間過ごす場合には、適宜、涼しい場所での休憩と、十分な水分・適度な塩分補給を行ってください。
子どもの顔が赤く、大量に汗をかいている場合には深部体温が上昇していることが考えられるため、涼しい場所で休み、水分や塩分を補給するようにしてください。

乳幼児 児童・中高生

1乳幼児

  • 対策

  • 1.水分を多めにとろう

    新陳代謝が活発なため、汗や尿として体から出ていく水分が多く、脱水を起こしやすい体です。水分を多く含む食事や、定期的な水分補給を心がけましょう。

  • 2.熱や日ざしから守ろう

    自律神経の働きが未熟で、放熱や発汗による体温調節がうまくできません。熱のこもらない素材や薄い色の衣服を選んだり、日光を遮る帽子などを身につけたりさせましょう。

  • 3.地面の熱に気をつけよう

    背が低かったり、ベビーカーの利用などで大人よりも地面に近い環境で過ごすことが多く、地表からの熱を受けやすくなります。子どもの高さの気温や湿度を気にかけましょう。
  • 4.暑い環境に置き去りにしないようにしよう

    乳幼児は自分の力で移動することができないので、「寝ているから」「ちょっとの時間だから」と放置することは危険です。特に、車内に置き去りにすることは絶対にやめましょう。
  • 5.室内あそびも油断しないようにしよう

    日差しがない屋内では大丈夫だろうと油断しがちです。屋外と同じ対策を意識しましょう。
  • 6.周りの大人が気にかけよう

    暑さや体の不調を、まだ自分の言葉で十分に訴えることができないため、服装や摂取するものによる暑さ調節がうまくできません。汗や体温、顔色や泣き方など、赤ちゃん・子どもの様子を、まわりの大人が気にかけましょう。
  • 7.外で夢中になりすぎない

    遊びに夢中になると、のどの渇きや気分の悪さなどの熱中症のサインに気づくのが遅くなります。子どもや特に乳幼児が遊びに夢中な場合には、大人が見守り休憩や水分補給をすすめましょう。

2児童・中高生

  • 対策

  • 屋外

  • 1.スポーツで無理をしない

    体力をつけることは熱中症に負けない体作りにつながりますが、最初から頑張らず徐々に体力をつけていきましょう。また、体調の悪いときは無理に運動するのは控えましょう。なお、スポーツ時の水分補給には、塩分や糖分を含む飲料がお勧めです。

  • 2.観戦で熱くなりすぎない

    自分の学校やチームのスポーツ観戦時に大声で叫んだり、長時間立ったままだったりすると、熱中症にかかりやすくなります。応援に熱くなっても、興奮して体温が上がりすぎないよう、クールダウンや水分補給に気をつけましょう。

  • 3.通学・帰宅中に油断しない

    バス停でバスを待っているときや徒歩での移動中など、直射日光に長時間当たらないよう気をつけましょう。日傘や帽子を利用して日よけ対策を行ってください。
  • 屋内

  • 1.体育館で燃えすぎない

    バドミントンやバスケットボールなど、風のない締め切った体育館での競技や、剣道など防具をつける競技は特に注意が必要です。チーム競技の場合、周囲のメンバーの配慮や体調不良を訴えやすい雰囲気が大切です。
  • 2.文化部も熱くなりすぎない

    音楽室やプレハブなど、高温多湿の場所で長時間練習することは控えましょう。空調を調節しつつ、こまめに休憩や、水分補給を行ってください。

専門家による解説

  • 三宅康史先生

    三宅康史先生
    帝京大学医学部教授
    帝京大学医学部付属病院高度救命救急センター長
    日本救急医学会評議員・専門医・指導医
    熱中症に関する委員会委員

    子どもは身体が小さい分、環境の影響を受けやすいです。同じ暑い環境の中にいると、60キロの人と20キロの人とでは、どちらも体の6割が水分だとすると、当然20キロの人の方が水分が少ない為、熱の影響を受けて先に体温が上がってしまいます。また、汗をかく能力も子どもは低いです。腎臓の働きも大人に比べると弱いので尿も作りづらく、熱中症になりやすいのです。特に乳幼児は自分からその環境から逃げるとか、水を飲みに行くとか、服を1枚脱ぐなど自らが出来ないので熱中症のリスクが高まります。熱中症予防のポイントですが、子ども自身が気を付けるのではなく、保護者の方が注意してあげなければいけないのです。

子どもの熱中症を防ぐポイント

みんなで予防!熱中症対策シート

みんなで予防!熱中症対策シート

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【監修】
帝京大学医学部教授
帝京大学医学部付属病院高度救命救急センター長
日本救急医学会評議員・専門医・指導医
熱中症に関する委員会委員 三宅康史 先生