熱ゼロ研究レポート:飼い主に聞いた「愛犬の熱中症」に関する調査熱ゼロ研究レポート:飼い主に聞いた
「愛犬の熱中症」に関する調査

  • レポート No.8飼い主に聞いた「愛犬の熱中症」
    に関する調査

    「熱中症ゼロへ」プロジェクトチーム

「熱中症ゼロへ」プロジェクトでは、犬の飼い主325名を対象に、「愛犬の熱中症に関する調査」を行いました。

調査サマリー

  • ■ 愛犬の4分の1が熱中症経験あり!
  • ■ 愛犬が熱中症にかかるリスクは、屋外の散歩中のみならず、屋内でも!
  • ■ エアコンの温度は、25〜28℃に設定している人が多数
  • ■ 愛犬の熱中症を意識するのは、7〜8月が圧倒的に多い
  • ■ 愛犬の熱中症予防のために行っているのは、涼しい時間帯の散歩や、こまめな水分補給
  • ■ 飼い主の5人に1人は、愛犬が熱中症にかかった場合の応急処置方法を知らない

■調査概要
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国の犬の飼い主(20歳以上)
サンプル数:325名
調査時期:2019年7月

調査結果(1)

愛犬の4分の1が熱中症経験あり!

愛犬が熱中症にかかったことがあるか聞いたところ、24.3%が「ある」と回答しました。
Q.飼っている犬が熱中症にかかったことはありますか?*回答:n=325

獣医師 弓削田先生のワンポイントアドバイス

犬の熱中症は重症化して死亡することが多いため、早急に動物病院を受診することをおすすめします。熱中症は重い病気であると認識することが重要です。

調査結果(2)

愛犬が熱中症にかかるリスクは、屋外の散歩中のみならず、屋内でも!

愛犬が熱中症にかかったことがある人に対して、どのような場面でかかったのか聞いたところ、「日中、散歩している時」44.3%に次いで多かったのは「室内で過ごしている時」29.1%でした。

Q.(「熱中症と診断されたことがある」「熱中症の症状がでたことがある」「どちらも経験がある」と答えた方のみ)どのような場面で熱中症にかかりましたか?*回答:n=79(複数回答可)

獣医師 弓削田先生のワンポイントアドバイス

室内では直射日光はありませんが、高温多湿の状況となりやすいため、対策を行いましょう。
昨今、局地的な大雨などによる突然の停電等で空調機器が停止する事象も散見されますので二重三重の備えが必要です。

調査結果(3)

エアコンの温度は、25〜28℃に設定している人が多数

半数以上が、25〜28℃に設定しているという結果に。中でも25℃という人が多く、温度を低めに設定していることがわかります。

Q.犬が屋内(車内も含む)にいる場合のエアコン設定は、普段何℃にしていますか?*回答:n=325

獣医師 弓削田先生のワンポイントアドバイス

エアコンの冷房設定温度は、25℃〜26℃が適温です。この温度は、犬がご家族と日常生活をしている際に適した温度ですが、飼い主様の留守中にご家庭の犬が飼い主様在宅時と同様の生活態度であるか否かで異なります(分離不安で吠え続けるなど)。さらに、犬の状態(寝たきり・肥満・認知機能不全などで徘徊や吠え続けるなどがある)により設定温度は多少上下しますので、かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。

調査結果(4)

愛犬の熱中症を意識するのは、7〜8月が圧倒的に多い

愛犬の熱中症を意識するのは、やはり気温が高くなる7〜8月が半数以上という結果に。次いで回答が多かった6月も含めると、6〜8月の3ヶ月間に熱中症の心配をしている飼い主が多いことがわかります。

Q.犬の熱中症が最も多い月はいつだと思いますか?*回答:n=325

獣医師 弓削田先生のワンポイントアドバイス

犬の熱中症はやはり真夏に多いのですが、昨今では気温の上昇が著しい5月のゴールデンウィークでもかなりの高温になることがあるため、5月のゴールデンウィークの外出中や6月の高温の週末などにも熱中症になることがあります。犬種にもよりますが、気温が25℃以上で、湿度が高い場合には、室内であれば室温設定に気をつけ、外出時であれば熱中症予防グッズを持つなど、万端の備えをすると安心です。

調査結果(5)

愛犬の熱中症予防のために行っているのは、涼しい時間帯の散歩や、こまめな水分補給

日中の熱中症を意識してか、散歩の時間帯をずらしたり、こまめな水分補給を心がけている飼い主が多く見受けられます。その他、愛犬が自由に居場所を選べるようにしていたり、風通しを良くしたりと、屋内でも意識して予防対策をしている様子も伺えました。

Q.犬の熱中症を予防するために、あなたが普段行っていることを全て教えてください。*回答:n=325(複数回答可)

獣医師 弓削田先生のワンポイントアドバイス

犬が熱中症にならないように意識をしている飼い主様がたくさんいらっしゃることは素晴らしいです。真夏の夕刻は輻射熱のみならず、照射されたアスファルトや側溝の鉄板などの温度が高い場合もありますので注意してください。また、「特に何もしていない」という飼い主様が10.8%というのは少し高いように感じました。注意をしていても犬が熱中症になることもあるので、対策を行って、犬が熱中症にならないよう気をつけましょう。

調査結果(6)

飼い主の5人に1人は、愛犬が熱中症にかかった場合の応急処置方法を知らない

半数近くが「少しでも異変を感じたら動物病院に連れて行く」、「涼しい場所で風を送る」などと回答したものの、「具体的な応急処置については知らなかった」と回答した人が20%もいることことから、愛犬の熱中症対策について今後も周知徹底していく必要があることがわかります。

Q.以下にあげる、犬が熱中症にかかった場合に必要な応急処置について、あなたが知っていることを全て教えてください。回答:n=325(複数選択可)

獣医師 弓削田先生のワンポイントアドバイス

「少しでも異変を感じたら動物病院に連れていく」方が47.4%とは、少なすぎるように感じました。様子を見て少しでもおかしいと感じた場合には、「動物病院を受診して大事に至らなくて良かった!」となるように迷わず受診することをおすすめします。
それ以外にも、「涼しい場所で風を送る」だけでなく、「体を冷やす」、「常温の水をかける」なども効果的な応急処置です。20%の方が具体的な応急処置について知らないということはとても心配です。何をしていいかわからないという場合には、まず動物病院を受診して、相談してみましょう。

専門家による解説

弓削田直子 先生
弓削田直子先生

Pet Clinicアニホス院長
博士・獣医学 獣医師
弓削田直子 先生
 食事や飲水、動物病院を受診するタイミングについて、夏は特に不安もあるかと思います。食事については、夏は冬季よりも一般的には食欲が低下する傾向にあります。食欲については個体差が大きいので、成犬になってからの食のリズムを把握しておくことが大切です。

飲み水の交換は、もちろん飲水の度ごとに交換することが良いですが、ご家庭の生活のリズムも様々だと思いますので、十分な量を用意してあれば1日一回でも大丈夫です。必ず1日一回は交換して、さらに一日の大体の飲水量を把握しておくことも大切です。

それでも気になる場合には早め早めに病院を受診することをおすすめします。動物病院は病気になってから行くだけではなく、「病気でなくて良かった」と安心する各種相談や健診で訪れるためのものでもあります。ですので、お電話でご相談いただくことも多々ありますが、お話は飼い主様の主観であり、実際に診察していない獣医師は受診しなくても大丈夫であるかを正確にお答えすることは非常に難しいです。

お散歩後のハアハアが帰宅後も止まらない、室温の高い状況で長時間滞在し元気が無いなどの時はすぐに受診するようにしましょう。

【補足】 「熱中症ゼロへ」プロジェクトより

自身の熱中症予防意識が高い人は、愛犬の熱中症予防にも積極的に取り組む傾向あり

前述の調査で得られた回答データから、「愛犬の熱中症を予防するために普段行っていること」で選択した対策の多さ(グラフ横軸)と、「飼い主ご自身の熱中症予防のために普段行っていること」で選択した対策の多さ(グラフ縦軸)の相関性を調査した結果、一定の相関性(相関係数0.68)が認められたのでご報告します。

ポイント

自らの熱中症予防対策に積極的な人は、ご自身の愛犬に対しても積極的な予防対策を行っている傾向があることがわかりました。同時に、自らの予防対策に消極的な人は、愛犬に対しての予防対策も不足しがちである、という結果が出ています。このことから、飼い主自身も含めたペットの熱中症予防啓発を更に広めていく必要があることがわかります。

「熱中症ゼロへ」プロジェクトは、今回の調査をふまえて今後もペットオーナーへの呼びかけを行ってまいります。