訪日経験のある外国人に聞いた「日本の暑さ」に関する調査熱ゼロ研究レポート:訪日経験のある外国人に聞いた「日本の暑さ」に関する調査

レポート No.10訪日経験のある外国人に聞いた
「日本の暑さ」に関する調査

「熱中症ゼロへ」プロジェクトチーム
訪日経験のある外国人に聞いた「日本の暑さ」に関する調査

「熱中症ゼロへ」プロジェクトでは、2017~2019年に日本の夏(6~8月)を経験したことがある20~69歳の外国人男女200名を対象に、「日本の暑さに関する調査」を行いました。

サマリー

  • ■ 訪日経験のある外国人の55.0%が日本の夏の気温は自国の気温よりも高く、68.0%が日本の夏の湿度は自国の湿度よりも高いと回答。
  • ■ 訪日経験のある外国人の98.0%が熱中症を知っている。
  • ■ 訪日経験のある外国人の半数以上が熱中症を経験していた!
    経験した熱中症の症状で最も多いのが「めまいや顔のほてり」(27.5%)。
  • ■ 訪日経験のある外国人の熱中症経験者の中で、熱中症の症状が現れたシーンは「屋外で歩いていたとき」が36.8%と最も高かった。
  • ■ 訪日経験のある外国人の96.0%が暑さをしのぐためになにかしらの工夫をしていた。

■調査概要
調査方法:
インターネット調査
調査対象:
海外に住んでいて、2017~2019年の夏(6~8月)に日本を訪れたことがある男女20~69歳
日本での滞在期間は半年未満
サンプル数:
200名
以下の4カ国でn=50ずつ均等割付で回収
中国、イギリス、アメリカ、オーストラリア
調査時期:
2020年4月3日~4月13日

調査結果(1)

訪日経験のある外国人の55.0%が日本の夏(6~8月)の気温は自国と比べて高い、68.0%が日本の夏の(6~8月)の湿度は自国と比べて高いと回答しました。

国別にみると、イギリスでは78.0%が自国の気温よりも高い、88.0%が自国の湿度よりも高いと回答しました。イギリスでは、自国の湿度よりも低いと回答した割合は4.0%でした。

研究レポート_訪日外国人調査グラフ02_01
研究レポート_訪日外国人調査グラフ02_02

調査結果(2)

訪日経験のある外国人の98.0%が熱中症を知っている、84.0%が熱中症の症状も知っていると回答しました。

国別でみると、中国では全員が熱中症を知っていると回答しました。他の国でも95%以上が熱中症を知っていると回答し、訪日経験のある外国人の熱中症認知率が高いことが分かりました。

研究レポート_訪日外国人調査グラフ03

調査結果(3)

訪日経験のある外国人の半数以上が熱中症を経験していた!
経験した熱中症の症状で最も多いのが「めまいや顔のほてり」(27.5%)。

訪日経験のある外国人の57.0%が熱中症の症状を経験したことがあると回答しました。27.5%が「めまいや顔のほてり」、20%以上が「体のだるさや吐き気」「体温が高い、皮膚の異常」を経験したことがあると回答しました。

研究レポート_訪日外国人調査グラフ04

調査結果(4)

訪日経験のある外国人の熱中症経験者の中で、熱中症の症状が現れたシーンは、「屋外で歩いていたとき」が36.8%と最も高く、屋外での活動中に症状が現れていることが多い。

18.4%が「混雑した電車やバスに乗っていたとき」、14.0%が「屋外でスポーツをしていたとき」に熱中症の症状が現れたと回答しました。

研究レポート_訪日外国人調査グラフ05

調査結果(5)

訪日経験のある外国人の96.0%が暑さをしのぐためになにかしらの工夫をしていた。

工夫した内容は、「水分をこまめにとった」が60.5%と最も多く、「涼しい室内に移動した」が47.0%、「天気や場所に応じて衣服を工夫した」が45.5%という結果でした。

研究レポート_訪日外国人調査グラフ06

専門家による解説

  • 三宅康史先生

    三宅康史先生
    帝京大学医学部教授
    帝京大学医学部付属病院高度救命救急センター長
    日本救急医学会評議員・専門医・指導医
    熱中症に関する委員会元委員長

    アンケート結果からは、訪日経験のある外国人には、日本の夏が危険な暑さであり、かつ経験したことのないような湿度の高さであることをよく知っており、そのために“熱中症”と言う病気についても認知率が高い事がうかがい知れます。そして、なんと半数以上が熱中症を経験したことがあるという結果には驚きます。

    熱中症を予防するためには、その知識だけでなく、熱中症の危険がある環境にいることに気づいて、水分補給や適度に休憩すること、退避できる場所を見つけるすべを知っておくことなど、現実的な熱中症対策が大切です。

    暑さをしのぐための工夫についての調査では、「水分をこまめにとった」という方は60.5%でしたが、もちろんそれだけでは十分ではありません。「気温と湿度を気にして生活した」や「十分な睡眠をとった」は31.5%と約3割の方しかいません。

    どうしてもせっかくの海外旅行だからと、暑い中、頑張ってあちこち見ておこうとか、朝早くから夜遅くまで現地を楽しもうという気持ちはよくわかります。ただ、せっかくの楽しい旅行も、頭痛や吐き気、倦怠感など熱中症の症状で体調不良を来しては、元も子もありません。

    海外で暮らしている方にとっては、日本の夏の暑さに慣れていないことのほか、海外旅行では、時差ぼけや疲れの蓄積などで体調を崩しやすいこともあり、熱中症に特に注意が必要です。

    もし、 熱中症が疑われる方に出会った際は、日本の方・外国の方にかかわらず、「応急処置のポイント」の応急処置の流れに沿って、意識があるかについてからまず確認しましょう。「汗のかき方がおかしい」「歩き方がおかしい」「しゃがみ込んでツラそうだ」などは、周りの人から見ても分かるため、勇気を出して声を掛けることが大切です。

    日本では冷たい飲み物を手軽に買える自動販売機が多くの場所にあり、逃げ込めるコンビニや公共機関も存在します。気温も湿度も高くなる日本の夏の危険性と熱中症対策を多くの方に知ってもらうことが、熱中症になる人を減らすことにつながります。


「熱中症ゼロへ」プロジェクトでは、今後も様々な方に向けて熱中症の情報を発信していきます。