みんなの力で熱中症をゼロにしよう

打ち水効果をサーモカメラで観測!

レポート No.7サーモカメラで見る!
打ち水効果の観測実験 in 南池袋公園

「熱中症ゼロへ」プロジェクトチーム

見た目にも体感的にも涼しく感じられる日本の伝統的な涼、「打ち水」。
熱ゼロでは、協力自治体である豊島区の皆様にご協力いただき、6月13日、7月24日の2回にかけて打ち水の効果を調べるためのサーモカメラによる観測実験を行いました!
打ち水の舞台は、今を時めくオシャレスポット豊島区南池袋公園。
さて、日本の伝統的な手法は、どれほど暑さを和らげてくれるのでしょうか?

サマリー

  • ■打ち水前に比べて、打ち水後の地面の表面温度が20度ダウン!
  • ■打ち水効果が持続するのは、水を撒いてから1時間程度!
  • ■6月に比べ、7月観測時の地表面温度が15度アップ!60度近くと、7月の暑さ顕著に

■打ち水観測イベント概要
観測日時:
1回目 6月13日(水) 14:00~14:30(打ち水実施14:10)
2回目 7月24日(火) 14:00~15:30(打ち水実施14:10)
打ち水場所:
豊島区立南池袋公園サクラテラス中段(下写真内:黄色く囲われた部分)

サーモカメラ撮影場所:
豊島区庁舎ブリリアタワー屋上スカイテラス 50 階
使用機材:
赤外線サーモグラフィカメラInfReC R500EX-S
観測内容:
上記観測時間中、5分おきにサーモカメラで打ち水場所を撮影。
※7/24は観測時間を15:30まで延長

7月24日イベント実施レポート

■打ち水前

7月24日、打ち水イベント開始時刻である14:00の練馬の気温は35.6度の猛暑日で晴れの天気でした。(気象庁アメダス観測値より)

うだるような暑さの中、観測場所となる南池袋公園サクラテラスの14:05時点の表面温度はなんと62.4度にも昇りました!日射によって、地表面が大変熱くなっていることが分かります。

  • 一方、サーモカメラの撮影場所は一体どこ? とサクラテラスから視線を上げた先にそびえたつビル。実は豊島区庁舎が下に入っているこのビルの最上階が、サーモカメラの撮影地点、ブリリアタワー池袋のスカイテラスでした。
  • スカイテラスは地上189m。
    撮影風景を見ても、高所で撮影した様子が伝わります…。
    ここから地上の南池袋公園をフレームにとらえ、5分おきに打ち水前と後での温度変化を見ていきます。

■14:10 打ち水開始!

14:10、いよいよ打ち水開始の時間です。
打ち水には、豊島区役所庁舎の地下に貯めている雨水を使用しました。
打ち水には小さいお子さんから学生、男女問わず、様々な方にご参加いただきました!
見た目にも涼しげな打ち水に皆さんの顔も思わずほころびます。

  • ひとしきり水を撒いた後、「熱中症ゼロへ」プロジェクトでは15:30まで地上の温度変化の様子をサーモカメラで撮影しました。

    さて、どんな結果が見られたのか、早速見てみましょう!

結果

  • 打ち水前(14:05)
  • 打ち水後(14:15)

打ち水を行う前と後で表面温度を比べてみると、打ち水前14:05頃には赤く示されているテラス上が、打ち水後14:15頃には水色~青色に変化し、温度が下がっていることが伺えます。具体的な数字として地上の表面温度を放射温度計で測ってみたところ、打ち水前はおよそ62.4度、打ち水後には41.8度を記録し、およそ20度低くなったことが分かりました。

  • また全体を見てみると、赤々としたデッキとは対照的に緑~青で示されている部分もありますが、実際の写真で確認してみると、正体は木陰!
    直射日光を遮って影となる部分では周りよりも涼しくなる、ということがサーモ画像ではっきりしました。

外出の際には、こうした木陰の下を選んで歩くなど、建物の陰に入るようにして日ざしから自分の身を守ることも大切な熱中症対策に繋がります。

ポイント

打ち水部分や、木陰、建物の陰など日ざしの遮られるに部分は涼しいことが分かりました。身の回りの環境を涼しくすることも熱中症から身を守る大切な対策の一つです。

■ギモン①:どのぐらい温度の低い時間が続いたの?

 観測時間帯14:00~15:30の間中、5分ごとに地表面の温度を測った際のグラフを見てみます。すると打ち水を始めた14:10から表面温度がガクンと下がり、打ち水をしていない部分と同じ温度に戻っていくのが、大体1時間後の15:10頃ということが分かりました。

 夏場の暑い時期、さらには1日の中でも昼間の暑い時間帯では、まいた水がすぐに蒸発しやすく再び熱さが戻ってきますが、今回の実験では、水をまいた後もしばらくは地表面の温度が下がっていました。


■ギモン②:時期によって地面の温まり方はどれくらい違うの?
  • 6月観測時
  • 7月観測時

6月、7月の2枚のサーモカメラ画像は、どちらも14:15の同じ時間帯に、測定できる温度幅を20~50度にそろえて比較したもの。7月は赤色を通り越して白色になっている場所が多く見られますね…。6月時点では45度前後だったサクラテラスも7月時点では60度近い値を示しています。
ちなみに練馬の6月の日最高気温の月平均は27.2度、7月では33.8度。今年の7月は35度以上の猛暑日がひと月の約半分を占める15日と、昨年度よりも7倍ほど増加しました。
6月に比べ、7月は非常に暑い日が続きましたが、地表の温められ方にもこれだけの違いがあるんですね…。

急に暑くなる時期には熱中症のリスクが高まります。温度や湿度をこまめにチェックすることで自分のいる環境を客観的に把握することが大切です。

では、打ち水で一体なぜ涼しく感じられるのか…。
次からは打ち水で温度が下がる仕組みについて紐といていきます。

打ち水で涼しくなる仕組み

■打ち水そのものによる冷却効果!

打ち水によって涼しく感じられる理由の一つには、水の冷たさそのものによって地面が冷やされたことが挙げられます。参考として、7月の水道水の平均水温は東京都庁付近で25.4度。打ち水前62.4度のテラスとは37度の差があります。ただし打ち水には雨水などの二次利用水を使用したため、実際にはもう少し水温が高かったかもしれません。
(参考:東京都水道局 平成29年度 都庁付近の水道水の水温)

濡れた地面の上を風が通ることで、体感的に涼しく感じられるなど、打ち水参加者の皆さんからはそんな声も聞かれました。

■「気化熱」で地面の熱を奪って冷やす!

お風呂上りに体を拭かずに濡れたままでいると、体が冷えてくるのを感じたことはありますか?この「濡れたままでいると冷える」という現象は気化熱によるもの。
そして今回の打ち水実験でも同じ原理が働いています。

気化熱とは液体が気体になるとき、そのエネルギーとして周囲から吸収する熱のことを指します。打ち水によって地面に水をまくと、水が蒸発するときに、地面の持っている熱を奪って水蒸気となります。そのため、熱を奪われた地面の温度が下がるのです。

また、打ち水によってより涼しい環境を作るためには、気化熱として地面の熱を奪い続けるために、水を長く保つことが必要となります。
そのため、打ち水を行う時間帯はすぐに温められて蒸発してしまう昼間の時間よりも、朝や夕方などに行うのがおすすめです。

打ち水観測のまとめ

  • 打ち水によって、表面温度は下げることができる!
  • 打ち水によって温度が下がるのは、水そのものの冷たさや、撒いた水が接している地面の熱を奪って蒸発する「気化熱」によるもの。
  • 打ち水に適した時間帯は朝や夕方!

終わりに

「熱中症ゼロへ」プロジェクトでは打ち水の合間を縫い、南池袋公園を訪れた方々へ「熱中症の対策で普段“できていない”こと」についてのアンケートも実施しました。

特にできていないと声が寄せられたのは、「部屋の温湿度を測っている」、「緊急時の困ったときの連絡先を確認している」でした。自分の身の回りの環境をしっかり把握し、今回の打ち水のように涼しい環境を作ることが熱中症対策に繋がります。また、熱中症で困ったときのために身近な人と連絡先を確認するなど、周りの人の体調を気にかけることも必要です。