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2025.06.09熱中症ゼロへ

農作業と熱中症に関する実態調査を公開

「熱中症ゼロへ」プロジェクトでは、全国農協青年組織協議会(JA全青協)協力のもと、若手青年農業従事者90人を対象に「農作業と熱中症に関する実態調査」を行いました。
近年、気候変動の影響で記録的な暑さが続いています。屋内・屋外に関わらず、暑い環境で農作業をする際は熱中症に注意が必要です。本調査では、農業現場における働き方の変化や、熱中症に注意が必要な具体的なシーン、暑さ対策の実態など、暑さが農業に与える影響についてヒアリングしました。

● 農作業と熱中症に関する実態調査 調査概要
【調査方法】インターネット調査
【調査対象】全国農協青年組織協議会(JA全青協)の各県域委員長・会長等の若手青年農業従事者
【サンプル数】90人(20代~50代)
【調査時期】2025年3~4月
※調査結果は、端数処理のため合計しても必ずしも100%とはならない場合があります。

直近2年程度の夏の暑さについて、作業環境や働き方、作業時期への影響があったと回答した割合は、「とても影響を受けた(68.9%)」、「やや影響を受けた(22.2%)」と、合わせて約90%に上りました。また具体的な影響について聞いたところ、暑さを避けるために農業従事者の「1日の休憩頻度を増やした」が最も多く72.0%、「1日の作業時間帯を前後にずらした」が次に多く58.5%、「1日の作業時間数を変更した」が39.0%と、働き方への工夫がみられました。

夏の暑さについて、農畜産物自体への影響はどの程度受けたと感じるか聞いたところ、「とても影響を受けた(65.6%)」、「やや影響を受けた(28.9%)」と、合わせて約95%が影響を受けたと回答しました。具体的には、暑さにより「農畜産物の収穫量が減った」が76.5%、「農畜産物の生育が不十分だった」が64.7%と、農畜産物の「生育・収穫量」に関して影響を感じていることが分かりました。
その他の回答では、害虫の被害が大きかった、果実の日焼け、樹上でのドライフルーツ化、高温障害などの意見も挙がりました。

農作業中、または農作業後で過去に熱中症にかかったことがある、または周りでかかった人がいると回答した人は約6割で、そのうち20.0%の人が「医療機関で診察、治療を受けた/受けさせたことがある」と回答しました。また、暑さに起因する体調不良の経験について聞いたところ、「めまいや顔のほてり(53.3%)」、「体のだるさや吐き気、頭痛(51.1%)」については、それぞれ半数以上が経験している結果となりました。

農作業中、農作業後において熱中症に注意が必要だと感じる人の中で、注意が必要な具体的なシーンや理由について詳しく尋ねたところ、草刈り作業や薬剤散布などの重労働のとき、トラクターでエアコンが効かなくなったとき、個人農家やハウス内での水やり作業などの1人になりやすいとき、などが挙げられました。熱中症予防において、周囲の人が変化に気付くことのできる環境づくりも課題のひとつです。

農作業中、農作業前後の熱中症の予防や対策として実践していることを聞いたところ、「こまめに水分を補給する(93.3%)」や「塩分・ミネラルを含む食べ物の飲料を摂取する(71.1%)」、「帽子をかぶる(65.6%)」などの基本的な対策については高い割合で実施されていました。また、「まわりの作業者へ水分・塩分補給や休憩を促す」といった周囲への声がけも45.6%が実施されていました。一方、十分にできていない、今後実践したい項目を聞いたところ、「ファン付きウェアや冷却機能に優れた衣類を着る」、「ウェアラブル端末を導入してリスク管理する」といった技術的なサポートへの関心が目立ちました。

気象庁によると、日本の平均気温はさまざまな変動を繰り返しながら上昇を続けており、特に1990年代以降、記録的な高温となる年が多くなっています。農作業をする方や、個人で園芸を楽しまれる方などを含め、暑い環境で長時間作業する場合は熱中症に注意が必要です。特に、屋外で直射日光を浴びる環境や、高温多湿な環境下になりやすい「ハウス」・「畜舎」・「選果場」・「農業用車」などで作業をする場合も、予防・対策を徹底してください。天気予報や暑さ指数(WBGT)を確認し、水分補給、適度な塩分補給を心がけ、こまめに休憩をとることが大切です。防護服などを着用する際は、暑さ対策アイテムなども積極的に活用しましょう。

熱中症予防・対策には周りの人が、体調をこまめに気にかけることも大切です。作業する際はなるべく2人以上で行うようにし、時間を決めて連絡を取り合うなどお互いを見守る環境を作りましょう。もし熱中症が疑われる作業者を発見した場合は、すぐに応急処置を行い、病院などの医療機関へ連れていきましょう。

熱中症について学ぼう:応急処置のポイント

「熱中症ゼロへ」プロジェクトは、今回の調査をふまえて、今後も農業従事者への熱中症対策の呼びかけを行ってまいります。